乃木坂46の東京ドーム公演感想~「いつかできるから今日できる」の生駒里奈~

11月7日・8日に行われた乃木坂46の東京ドーム公演2daysのセットリストは、「現場」での強さを最優先に組んだ、ライブベスト盤から選曲したような鉄壁のラインナップだった。

 

制服のマネキン」「君の名は希望」「何度目の青空か?」といったアンセムには「待ってました!」という気分になり、ライブという空間にひときわ映える「世界で一番 孤独なLover」「他の星から」「ここにいる理由」「命は美しい」などの楽曲たちには改めて乃木坂46の作品としての強さを感じた。

粒ぞろいの楽曲とメンバーたちの磨かれたパフォーマンスに、「どの曲が最後の曲になってもいい」とさえ思えた。初の東京ドーム公演という祭りムードの配合も絶妙で、乃木坂46史上最も完成度の高いライブだったのではないだろうか。

 

一方で、パッケージとしての完成度の高さゆえのさびしさもよぎった。
上に挙げた楽曲のライブパフォーマンスのすばらしさはぼくにとってはすでに通った、見てきた道だったからだ。

「どの曲が最後の曲になってもいい」は、ライブが進むにつれ次第に「これならもう乃木坂46のライブはいいかな」に変わっていった。

 

映画監督・野村芳太郎スピルバーグ監督の『ジョーズ』を観た後、
「『ジョーズ』はたしかにすばらしい。だからこそこれ以降のスピルバーグ作品は見る必要がない。あんな作品は二度と作れないからです」
と、脚本家・橋本忍に言ったという。
引用元:橋本忍著『複眼の映像』

 

ぼくはまさしくそんな心境だった。確認作業なら後に発売されるであろうライブDVDで十分だから。

 

ローマの休日』の最後、王女に別れを告げ、コツコツと靴音を立てながら王宮の階段を降りていくグレゴリー・ペック
初日のライブ中、ひとりグレゴリー気分になっているぼくを引き戻してくれたのは、やっぱり生駒里奈だった。

 

「どの曲が最後の曲になってもいい」と思っていた本編最後の曲は、最新シングル曲「いつかできるから今日できる」だった。


曲の冒頭、歌唱パートを担うWセンターやフロントメンバーの肩越しに映る生駒ちゃんのパフォーマンスにぼくの目は釘付けになった。
「一人の」というより、彼女は「ひとつ」になって表現をしていた。
それは、「制服のマネキン」や「サヨナラの意味」のMVと同様、新しい生駒里奈の表現だった。

 

パッケージを突き破る新しい発見を見せてくれた生駒ちゃんはやはり希望だった。

 

2日間おつかれさまとありがとう。

これからもよろぴくぴく。