年越しにみる映画①萩原健一主演『渋滞』
事故後の原発のように四六時中ぷすぷすと毛穴から不満を発散させている男、ショーケン。
年の瀬、久しぶりの家族そろっての帰省であっても当然、その道中の陽気なこと! とはならない。
渋滞にハマって身動きとれない車内。その運転席にはショーケン。想像しただけで胃潰瘍になりそうなシチュエーションだ。
ぼくが息子なら家で爆笑ヒットパレードを見る正月を選ぶ。
なんせ、まだ川崎の時点で
「まるで俺が交通費ケチって車にしたような言い方だからさ」「この渋滞は俺のせいかよ!」
とキレかかっているのである。
時折見せる「ちきしょぅ」の発音がエグい。
旅館がとれずに車中泊、ナビに不慣れな妻に八つ当たりしているところをあわやトラックと正面衝突、ネズミとり、雪の中を居眠り運転しあわやの大惨事、息子の急病...。
と、まるでショーケンに油を注ぐように数々のトラップが待ち構えている帰省の旅。
そんななか、ショーケンに振り回されながらもしっかりと自分の意思を貫き、家族団らんを保とうとする奥さん役の黒木瞳がイイ。
子供が二人もいる奥さん役ながら、イイとこの女子大生のようなファッションもかわいいし、ケンカのあと、ショーケンと旅館の階段で秘め始めしているときにロングスカートから突き出た生足は『失楽園』なんかよりもずっとエロい。
黒木瞳という女優を見直した一本となった。
テレビに映し出された帰省ラッシュ、Uターンラッシュの様子を「あや〜、ご苦労様だこと」と言いながら楽しむのは故郷である田舎に住むひとの特権である。
この映画のショーケンを見たあとだと誰しもその特権を味わうことができるが、それ以上に「今年の正月は田舎に帰ろうかな」と思わせてくれる、そんな作品である。
『渋滞』(1991年)
出演:萩原健一/黒木瞳/宝田絢子/湯澤真吾/岡田英次/東恵美子/清水美砂/緒形幹太/中村嘉葎雄/犬塚弘/浜村純/小林亜星/かたせ梨乃
〜あらすじ〜
家電量販店に勤める林蔵(萩原健一)は正月休みに家族4人で5年ぶりの帰省を計画。旅費を浮かせるため、自宅のある千葉県浦安から故郷の瀬戸内海に浮かぶ真鍋島までマイカーでの移動を選ぶ。12月30日の早朝に出発したらその日の夜には到着すると思っていたが、高速の入口からすでに帰省ラッシュにハマり...。
渡瀬恒彦〜日本映画界最強の鍋奉行〜
秋分の日を過ぎ、スーパーにも鍋コーナーがぼちぼち立ち始めてきた今日この頃、日本映画界が誇る鍋奉行、渡瀬恒彦の魅力について紹介したい。
渡瀬恒彦といえば役者としての魅力は言わずもがなだが、荒くれ者や腕っ節自慢の役者だらけだった1970年代東映にあって“最強”との呼び声高いケンカ師である。
なんせ、
在学中は空手道部に籍を置き、段位は弐段。
であり、
東映のやくざ映画やアクション映画などに出演した際に親交を深めた志賀勝、川谷拓三、片桐竜次、野口貴史、岩尾正隆、小林稔侍らが結成した「ピラニア軍団」の発起人となったことでも知られている。
なのである。(出典:渡瀬恒彦 - Wikipedia)
また、その命知らずなスタントアクションについて、映画評論家の町山智浩さんと春日太一さんはTBSラジオ『たまむすび』で次のように紹介していた。
町山智浩「アクションシーン、一切、スタントマンを使わないんです」
赤江珠緒「へぇ~」
春日太一「バスジャックの映画があるんですけど、『狂った野獣』っていう。その時は、バスにオートバイで並走して、オートバイの後部座席から、バスの窓に乗り移るんです」
町山智浩「オートバイからバスに乗り移るのを本人がやってるんです」
春日太一「猛スピードで走ってるんですよ。それを1カットでやってるんです」
山里亮太「えぇ?!」
春日太一「さらに、そのバスを自ら運転して、横転までさせるんです」
町山智浩「バスでパトカーを何十台も轢き潰して、その後にバスがクラッシュするんです。ずっと渡瀬恒彦が運転席にいるんです。もうどうかしてる人なんです」
春日太一「それで『渡瀬さん、スターなんだからあんまりそういうことやっちゃダメだよ』って言われたら、『俺にはこれしかないんだよ』って言って。当時、まだ演技力に自信が無かった頃なんで」
町山智浩「『とにかく、俺は体を張れば良いんだ』って思ってたんですよ」
引用:町山智浩×春日太一「俳優界の最強は渡瀬恒彦」 | 世界は数字で出来ている
まさに実力と特攻精神に裏打ちされた本物のケンカ師、渡瀬恒彦がなぜ日本映画界最高の鍋奉行なのか?
そんな疑問を抱いているかたに向けて、渡瀬恒彦が「有田俊夫」役で出演している1973年『仁義なき戦い』での1コマを紹介したい。
渡瀬恒彦扮する有田は物語中盤、山守組分裂のキーマンとして登場する。
〜あらすじ〜
広能昌三(菅原文太)、若杉寛(梅宮辰夫)らの身を挺したはたらきによって土井組を壊滅、呉の闇社会を牛耳ることに成功した山守組だったが、組の運営を巡って若頭の坂井鉄也(松方弘樹)と幹部・新開宇一(三上真一郎)が対立。その争点はヒロポンの売買によって頭角を現しはじめた新開の舎弟・有田一派に向けられる。有田はかつて坂井が絵図を描いて選挙妨害を行った市会議員・金丸を抱き込み、金丸と兄貴分・新開との間を仲介。山守組の乗っ取りを共謀する。
以下は金丸と新開、有田が料亭で鍋を囲みながら謀議を図っている場面である。
(有田)市会議員の金丸の盃に酌をする。
金丸「わしゃのう、常々有田にも言うとるんじゃが、男が世に立つ以上ひとの風下に立ったらいけん」
新開「へぇ」
(有田)箸を取り、取り皿の中の鍋の具を口に運んでいく。
金丸、新開に盃を渡し中居が酒を注ぐ。
(有田)金丸、新開、中居の交差する腕の隙間を縫うように、鍋の中を物色し具を自分の取り皿に入れていく。
金丸「一度舐められたら終生取り返しがつかんのがこの世間いうもんよ、のぅ」
新開「へぇ」
(有田)金丸の言葉への反応を探るように新開を見つめる。
金丸「ましてや侠客渡世ならなおさらじゃ」
(有田)鍋を物色しながら、金丸のタバコを持つ動作に気付き、ジッポで火を点けてあげる。
金丸「時には命を張ってでもいうぐらいの性根がなけにゃ親分と言われるような男にはなれんわね」
(有田)パチンとジッポの蓋を下ろしながら新開を見つめる。
金丸「のう、新開さん。あんたも男になりんさい」
(有田)再び鍋の中を物色しはじめる。
カメラ位置が金丸の背中越しに移動。
金丸「わしがなんぼでも応援してあげるけん」
金丸が新開の盃に酒を注ぐ。
金丸「それにはよ、山守組の跡目に立つような意志がなけにゃのう」
新開、有田を一瞬見たあと、金丸の言葉に身を乗り出しそうになる。
(有田)ふたりのやり取りを我関せずとばかり鍋の具を口に運ぶ。
金丸「むほっ、山守ごときは相手にせんでもええがのう。問題は坂井じゃ」
(有田)手酌で酒を注ぎ、飲み干す。
金丸「あの男、早いうちに叩いとかにゃあんたも有田も男にゃなりせんど」
新開「へ。そらぁようわかっちょるんですが」
金丸「むほほ。あんたがその気になっとるんなららわしがひとつええ贈りもんしよ」
うしろを振り返り、パンパンと手を叩く。
カメラ位置が新開の背中越しに移動。
金丸のうしろの襖が開き、土井組の残党三人が姿を現す。
(有田)腰を上げそうになる新開の肩を抑え制す。
金丸「はっはははははは。ちぃとばかり座興が過ぎたかのぅ」
(有田)事は済んだとばかりに箸を置き、爪楊枝をしごきだす。
金丸「これはしかし酔狂じゃないんだ。あんたの力でよ、土井組を再建させちゃったらあんたは押しも押されもせん大親分じゃ」
いかがだろうか。「最高の鍋奉行と言っておきながら鍋の世話なんか全然してねえぢゃねーか!」と思われたかもしれない。
ぼくもそう思った。映画を見直すまで渡瀬恒彦(有田)はもっと同席しているふたりに対して甲斐甲斐しく取り皿に鍋をよそってやったり、酌をしてあげたり世話を焼いていたと記憶していたのだ。
それがどうだ。一言も台詞を発せず、眉間にシワを寄せてへの字口をしたまんま、ひとり黙々と鍋を食ってる。
ぼくが渡瀬恒彦(有田)を鍋奉行と勘違いした理由。
それは彼の視線だ。このシーンの間中、視線がほとんど動いていないのだ。視線の定位置は鍋、もしくは自分の取り皿で、金丸のタバコに気づいたときも視界の中の出来事として対応している。タバコに火を点けてあげる瞬間も視線はずっと己の手元だ。
始終鍋をつつく腕と視界の入るものすべてを射抜くようなの視線のせいで甲斐甲斐しく鍋の世話をしていると錯覚してしまったのだ。
このシーンで渡瀬恒彦が顔を上げ、視線を人物に向けるのはたった三度。いずれも兄貴分、新開にだ。最初の二度は金丸の言葉に新開がどう反応するか探るような視線。最後は土井組の残党に対して思わず腰を上げる新開を制する場面。
終始言葉を発せず、顔さえ上げず、ひたすら鍋をつついて第三者を決め込んでいる。それだけに兄貴分に向けたたった三度の視線は言葉よりも深く重く刺さってくる。
それにしても、鍋を見ながら新開の様子を窺い、さらに金丸のタバコに火を点けてあげるときの渡瀬恒彦の一連の動作の見事さはどうだ。
さて。相撲の世界にちゃんこ番という言葉があるように、本来鍋の世話は下っぱがやるものである。決してお奉行様がする仕事ではない。
また、相撲の世界に詳しくはないが、ちゃんこ番の力士が鍋を見ながら上役である関取に向かって気軽に話しかけたりするとは思えない。ただひたすら先輩、上司の機嫌を窺いながら鍋に注意を払っているに違いない。
そういう意味で鍋を前にしたときの有田の姿は理想の鍋奉行といえるだろう。
渡瀬恒彦が鍋奉行をしている作品は『仁義なき戦い』だけではない。
1974年公開された『山口組外伝 九州進攻作戦』である。
役どころは九州出身のチンピラで、パチンコ屋でのイカサマ行為が発覚するやパチンコ台を破壊、店を仕切るやくざたちに囲まれてもアイスピック一本で向かって行く突破モン、古田憲一。
結局リンチにあった挙げ句川に放り投げられたところを同じ九州モンのよしみから菅原文太扮する夜桜銀次に拾われる。
その晩、文太とその奥さんである渚まゆみと一緒にすき焼きをつついている渡瀬恒彦。
『仁義なき戦い』での有田同様、ひとりがつがつと鍋を口に運んでいる渡瀬だが、ここでは手ぬぐいを頭に巻きながら文太の奥さんで身重の渚まゆみに肉をよそったりしてちゃんと鍋奉行としての仕事も行っている。
台詞は過去を訊かれぽつりぽつりと答えるところくらいしかないが、ふと見せるこぼれるような笑顔からもいい兄貴と姐さんができたよろこびが伝わってくる。
かつて渡瀬恒彦は日本一「鉄砲玉」役が似合う役者だった。
鉄砲玉役に共通しているのは、捨て犬のような境遇と一度惚れ込んだ飼い主にはとことん付き従う純な性格。
彼の鉄砲玉役は役づくりを超えた天性の素質といっても過言ではない。その根っこには彼の子分気質というより、生まれながらの宿命であり拭いきれない「弟気質」があると思う。
彼の兄は言わずと知れた俳優・渡哲也。
5年前、渡瀬恒彦は兄とTBSドラマ『帰郷』40年ぶりに共演を果たした際、役者・渡哲也についてこのように語っている。
「僕から見たら、兄貴程度の芝居しかできなかったら、とっくに消えていただろうなと。兄貴は下手ですね」
どちらも還暦を過ぎ、自らも兄に勝るとも劣らない経歴と評価を築いてきた大俳優なのにこの大人げない発言。もちろん冗談まじりだが、そのなかには本心も多分に含まれていたと思う。
ぼくにも渡瀬恒彦同様、兄がひとりいる。
弟が抱く兄への感情というのは複雑だ。
親や周りからはいくつになっても兄と比べられ、自分が歩いているレールなのに常に兄の足跡を意識してしまう。
これはぼくの話で恐縮だが、 ぼくは兄弟は兄ひとりだが、一応末っ子である。それに、家族構成は両親に兄、祖父母、ひいばあちゃんの7人家族。自分の下には飼い犬しかいないという環境が長かったせいか、いまでは兄の子どもだろうが10コ以上年の離れているバイト仲間だろうが自分より末っ子特典を得るヤツは許せない。斜め下から無理矢理潜り込んでもっとも居心地のいいポジションを得る処世術を身につけてしまった。
話を渡瀬恒彦に戻す。
兄と同じ職業、役者の道に進んだのなら弟の葛藤はなおさら深かっただろう。
渡瀬恒彦が東映にスカウトされた1969年当時といえば、兄・渡哲也は日活の看板スター俳優。
いくらスター俳優の兄を持つとはいえ、実力がすべての映画界にあっては血筋など威光はおろか逆光にはたらくことのほうが多いはずだ。
事実、目黒祐樹(松方弘樹の弟)にしろ矢吹二朗(千葉真一の弟)にしろ、残念ながら兄以上に活躍したとは言い難い。
兄の背中を振り切る。その思いこそが渡瀬恒彦をオートバイからバスに飛び移らせ、ジープの下敷きになるほど体を張らせてきた原動力だったのではないだろうか。
それは春日太一さんが紹介していた渡瀬本人の「俺にはこれしかないんだよ」という発言からも窺える。
だからこそ40年ぶりに兄弟共演を果たした際に語った「兄貴程度の芝居しかできなかったら、とっくに消えていただろう」という発言は紛れもない本心なのだ。
そして、体を張ることこそが魔物たちがうろつく映画界で弟なりに身につけた渡瀬恒彦の処世術でもありシノギ方でもあったのだと思う。
そのシノギ方が鉄砲玉として鍋奉行としてのリアリティを持たせているのだ。
競演には40年の月日が必要だったが、1995年、渡哲也、渡瀬恒彦の兄弟は阪神大震災の被災地で炊き出しを行い、被災者に手づくりの焼きそばを振る舞っている。
9/11(日)「乃木コミ」開催!@新宿3丁目ネコ文壇バー
9月11日(日)新宿3丁目にあるバー「ネコ文壇バー 月に吠える」さんで
イベント「アイドルバー 乃木コミ」
を開業します。
コミは「コミケ」の略で、アイドルグループ乃木坂46のファンが独自に創作した作品の展示、販売を行います。
①乃木坂ファン界隈で有名な絵師さんである
高杉忍さんと花井にわさんが描かれてこられた作品の展示会
(高杉忍さんの作品一例)
(花井にわさんの作品一例)
②乃木坂ソングにちなんだオリジナルカクテル
【アイドルバー "乃木坂46 Day"限定カクテル】
走れ!bicycle
シャキイズム
何度目の青空か
太陽ノック
裸足でSummer
(おいでシャンプー)
③オリジナル「乃木坂ドンジャラ」常設(無料)
④今後の活躍が期待されるDJの一人による乃木坂MIX
⑤18時からは文化放送『乃木坂46の「の」』をみんなで聴こう!
もちろん、乃木坂46に関する情報交換や生写真などのグッズのトレードの場にもご利用ください。
【アイドルバー"乃木コミ"】
日時:9月11日(日)17時〜23時(ラストオーダー22:00)
会場:ネコ文壇バー 月に吠える(東京都新宿区新宿3-6-11 第一玉屋ビル3階A号室)
料金:チャージ500円+ドリンク代
イベントに関する質問、リクエストはTwitter@bonnieidolか当ブログのコメント欄にお願いします。
また、次回の開催に関してはまだ未定ですが、今後「乃木コミ」で自分も創作物を展示、販売したいというかたがいらっしゃいましたら私ボニー・アイドルまでご連絡いただけたらと思います。
連絡先→bonnieidol1982@gmail.com
オナニー特集・エッセイ「3P」(ボニー・アイドル)
「3P」 byボニー・アイドル
松竹養成所を「卒業」してから、ぼくはスーパーとホームセンターのバイトも辞め、今で言うニートのような生活を送っていた。親からの仕送りを頼りに、就職先を探すわけでもなく、ただただボンクラとして日々をやり過ごしていた。
「シャブ中かと思ったよ」
肩を落とし、俯きながら街を歩いているぼくを見て、元バイト先のスーパーの店長が声をかけてきたこともあった。
近所の御伊勢塚公園の桜が散り、五月になった。そろそろぼくの二十一回目の誕生日がやってくる。
(とうとう二十歳でもセックスはできなかったか……)
将来どころか明日への希望さえ失いながらも、時々、頭の片隅にはいつまで経っても童貞を失えないことへの焦りがよぎった。
一年前の誕生日、ぼくはヤラずに二十歳、“ヤラハタ”を迎えた。同時に、彼女いない歴のカウントもまたひとつ増えた。
小学生の頃から官能小説を読み、『トゥナイト2』で山本カントクの風俗レポートを見るのを欠かさず、高校の頃にはレンタルAVを片っ端からダビングして同級生たちに自慢していた。性、というかエロに関する知識は同級生以上に持っていたが、所詮は机上の空論だった。それまで人気を博していたぼくのエロ噺は高校生になってからは、同級生がぽつりと呟いた「昨日、女子校の二つ上のコとヤッたよ」という一言の前ではなんの説得力も持たなかった。
一人暮らしを始めてからも養成所の同期とはまったくと言っていいほど交流がなかったので、合コンの誘いがあるわけもなく、女っ気のない日々は続いた。ただ、一度だけ、同じホームセンターのバイト仲間で、歳がひとつ下の “歩ちゃん”とデートをしたことがある。
歩ちゃんは顔がタイプだったわけでも、性格に惚れたわけでもなかったが、バイトのユニフォームを着ていても隠しきれない胸の膨らみに惹かれた。
勇気を振り絞って、歩ちゃんを映画に誘ったのは養成所の卒業オーディションが間近に迫っていた二月のある日。待ち合わせ場所の最寄り駅の東上線霞ヶ関駅に歩ちゃんはぼくより少し遅れてやって来た。
ふたり並んでふじみ野の映画館まで向かう道中、ぼくはジーンズの中で、股を冷たい液体がつたっている感覚を覚えた。カウパーが漏れていたのだ。女のコと並んで歩いているだけで。
その日見た映画は、ぼくチョイスによる『戦場のピアニスト』だった。スクリーンの中では、瓦礫の中でユダヤ人ピアニストがナチスの捜索から必死に逃げ惑う姿が続いていたが、ぼくの視線は片隅に見えるニット越しの胸の膨らみに釘付けだった。そして、頭の中はジーンズに付いた染みを歩ちゃんに気づかれないか、それだけだった。
感動のエンディングで映画は終わった。と思う。映画館を出ると外はすでに薄暗く、ぼくは「ふじみ野は知っているお店もないので、霞ヶ関に戻ってご飯を食べよう」と提案した。
歩ちゃんは何の感情もないような表情で頷くと、「電車に乗る前にトイレ行ってくるね」と言って小走りで駅内のトイレに向かって行った。それっきり、待てども待てども彼女は姿を現さなかった。ケータイに電話しても知らない女が「おかけの電話番号は現在使われていないか、電波の届かない場所に…..」と繰り返すだけだった。
「いやんいやん、ああーん!!」
人生に背を向けて川越のアパートのロフトで春眠を貪っていたある日、壁越しに激しい喘ぎ声とパイプベッドがギシギシと揺れる振動が伝わってきた。
隣に住む女子大生がまた男を引っ張り込んでいるらしい。どうやら、おっ始まってそれほど時間が経っていないようだ。ぼくは布団の傍に置いてあったコップを左手に、モツイチを右手に持ち、耳をそばだてながら壁越しの3Pを始めた。
三人の中でいちばん早く果てたのはぼくだった。
(了)
オナニー特集・アンケート(9月7日更新・回答数5)
(8月29日記事公開)
(9月2日更新)
(9月5日更新)
(9月7日更新)
オナニー特集のアンケートに4名のかたからご回答いただきました。
ご協力していただいた、「エロ洒落にならない人(サマツリ)」さま、「ボニー」さま、「武技威相度流」さま、「パヤヤン」さま(新)、「ええ太腿(えロとも)」(新)さま、ありがとうございました。
当特集では引き続き、アンケートへのご回答を募集しております。ご回答はコメント欄にお記しください。ご協力よろしくお願い申し上げます。
Q1 どれくらいの頻度でオナニーしてますか?(週○回)
「週7~週15」(サマツリ/24歳/学生)
「週10くらい」(ボニー/34歳/ライターなど)
「月1~3回」(武技威相度流/32歳/療養中)
「週3~4回」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「週4〜6」(えロとも/18歳/大学生)
Q2 初オナニーの年齢を教えてください。
「記憶にございません」(サマツリ/24歳/学生)
「13歳の夏」(ボニー/34歳/ライターなど)
「11歳」(武技威相度流/32歳/療養中)
「13歳(中1)」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「恐らく中1」(えロとも/18歳/大学生)
Q3 そのときのきっかけやシチュエーション、得た快感、感情の変化、その後の人生に与えた影響について教えてください。
「上記に同じ」(サマツリ/24歳/学生)
「一人部屋がなかったので親が隣で寝ているところで。最初は何も考えずひたすら上下運動していて『コレ、いつになったら終わるんだろ』と思ってたんですが、頭の中にテレビで見た水着タレントを思い出した途端、頭の中に白が爆発しました」(ボニー/34歳/ライターなど)
「就寝前ではなく起床後にあおむけで行っていました。ズボン越しにこする方法でした。感情、精神面は不安定になった気がします(特に中学生時代)」(武技威相度流/32歳/療養中)
「お風呂でムイて石鹸つけて洗ってたら…それ以来、ヌルヌルしてるのが好きです」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「いつも通り動画を見ている時に何となく手を添えて上下してみたら…という感じだったと思います。当時はその行為を知らず凄い発見をしてしまったのではないかと錯覚しました」(えロとも/18歳/大学生)
Q4 普段、どんな環境、体位でオナニーしますか?
「自宅のベッド→仰向け PC前→胡座」(サマツリ/24歳/学生)
「ベッドにノートPCを置いて右に横向き寝の姿勢」(ボニー/34歳/ライターなど)
「現在もあおむけです」(武技威相度流/32歳/療養中)
「PC前に座布団を敷いて座ってます」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「基本的には家の洋式トイレに座って行います」(えロとも/18歳/大学生)
Q5 普段のオカズは何ですか? 複数回答あり。(例・エロDVD、ネットの無料エロ動画、エロチャット、エロ本、アイドルのグラビア、イマジンなど)
「ネットの体験談(という名の官能小説)、ネットの無料動画、童貞なりのイマジネーション」(サマツリ/24歳/学生)
「ネットの無料動画7:プライベート録音音源2:妄想1」(ボニー/34歳/ライターなど)
「本 ネット写真」(武技威相度流/32歳/療養中)
「ネットの動画!便利になったもんですね!時々DVDも見ます」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「主に動画ですが元々漫画が好きなので同人含むエロ漫画を利用することもあります(すべてネット上のものです)」(えロとも/18歳/大学生)
Q6 どんな妄想でオナニーしますか?
「綺麗なお姉さんにバリバリ攻められる類の妄想」(サマツリ/24歳/学生)
「元カノたちとのセクロスを思い出すことが多いです」(ボニー/34歳/ライターなど)
「6月末頃まで好きだった人のお腹の肉を揉みしだく(今は好きではないので妄想していません)」(武技威相度流/32歳/療養中)
「最近妄想ではしなくなりました。イヤっ!動画見ながら同時に妄想もしてるのかも…」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「5で答えたものをネタにすることが多いですが同級生の女の子とヤる妄想をすることも普通にあります。(妄想パターンは特に決まっていません)」(えロとも/18歳/大学生)
Q7 1日に最高何回したことありますか?
「7回だった気が…」(サマツリ/24歳/学生)
「7回」(ボニー/34歳/ライターなど)
「2回」(武技威相度流/32歳/療養中)
「最高2回しか…」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「5回ぐらいならある気がします」(えロとも/18歳/大学生)
Q8 これまでの人生で最高のオカズ(ドピュリッツァー賞)を挙げるとしたら何ですか?(ソフト名や女優名など具体的に)
「S級素人シリーズのJKモノに出てた頃の麻倉憂と直嶋あい」(サマツリ/24歳/学生)
「『お姉さん甘えていいですか?』という企画モノAV(VHS)に出演していた水沢ナナさんです。高1のときにレンタルで見たのが最初で、成人して川越に一人暮らしてしていたときレンタル落ちしていたVHSをゲットしました。今でもたまに見ます」(ボニー/34歳/ライターなど)
「『Shemale Japan』中澤チュリンのグラビア(公式リンクはなくなりました)、’98年〜’99年頃の『熱烈熟女画報』人生相談ページに載っていた相川かほりさんのグラビア、大貫妙子1stの裏ジャケ」(武技威相度流/32歳/療養中)
「『麗しの家庭教師ザ・ファイナル』カンパニー松尾監督。これだけは売らずにずっと持ってます!」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「記憶にございません(非常に申し訳ない)」(えロとも/18歳/大学生)
Q9 どんなときにオナニーしたくなりますか? 複数回答あり。
「ズバリ今のような下ネタの話をしてるときです」(サマツリ/24歳/学生)
「最近はバイト中(飲食)が多いです」(ボニー/34歳/ライターなど)
「インターネット(普通のサイトでも)を眺める時間が長い時はしたい時のようです。理由は分からないです」(武技威相度流/32歳/療養中)
「ここ数年、朝にしたくなるんですよね。仕事行く前に…」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「ふと思い立った時、中々寝られない時」(えロとも/18歳/大学生)
Q10 いまでも実家でオナニーしてますか?(Yes or No)
「帰省中だけですがyes」(サマツリ/24歳/学生)
「Yes。帰省中」(ボニー/34歳/ライターなど)
「Yes」(武技威相度流/32歳/療養中)
「No!」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「イエス」(えロとも/18歳/大学生)
Q11 (Q9でYesと答えたひとのみ)そのときの環境や注意点、オカズを挙げてください。
「誰もいない時間帯を見計らうのと玄関の鍵を閉めることです」(サマツリ/24歳/学生)
「自分の部屋でするときのオカズはエロ動画。兄キのPCを使ったら履歴は消しておきます」(ボニー/34歳/ライターなど)
「静かに時間をかけて」(武技威相度流/32歳/療養中)
「オカズはいつも通りです。イヤホンは必ず使うようにし、時間をかけ過ぎないようにします」(えロとも/18歳/大学生)
Q12 オナニーに道具を使ったことがありますか?(Yes or No)
「noです」(サマツリ/24歳/学生)
「Yes」(ボニー/34歳/ライターなど)
「Yes」(武技威相度流/32歳/療養中)
「Yes」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「ノー」(えロとも/18歳/大学生)
Q13 (Q11でYesと答えたひとのみ)どんな道具ですか?(オナホやラブドール、ローションなど)
「エアドール、ローション、オナホ。オナホは仕事で使用ルポを書くために買ってもらった電動のやつも持っています」(ボニー/34歳/ライターなど)
「コンドーム(事後処理が楽なので)、TENGA、TENGA EGG、ローション」(武技威相度流/32歳/療養中)
「ローションは使います。昔、オナホを買って使ってたのですが数回使ったある時中が劣化してひび割れてるのに気付かず入れてしまい、亀頭が切れて出血してしまってからアンチオナホになりました」(パヤヤン/41歳/サービス業)
Q14 他人にオナニーを見つかったことがありますか?(Yes or No)
「特になかったかと思います。」(サマツリ/24歳/学生)
「中学生のときに父親に見つかったかもということがありました」(ボニー/34歳/ライターなど)
「Yes」(武技威相度流/32歳/療養中)
「NOだと信じてる…」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「ノー」(えロとも/18歳/大学生)
Q15 (Q14でYesと答えたひとのみ)そのときのシチュエーションや自分がとった行動、相手がとった行動について教えてください。
「下半身丸出しにしていたので、ケツに寄生虫がいるか見ていたと言い逃れしました。後日、父親が寄生虫の薬を買ってきてくれました」(ボニー/34歳/ライターなど)
「15歳の頃。下半身がベトベトのままパジャマのズボンを穿きました。気持ち悪かったです。母は何も言いませんでした」(武技威相度流/32歳/療養中)
Q16 変わった場所でしたオナニーについて教えてください。
「特になかったかと思います」(サマツリ/24歳/学生)
「だいぶ年上の友人が所有している北軽井沢の別荘に泊まったとき。お風呂で」(ボニー/34歳/ライターなど)
「変わった場所ではしたことがありません」(武技威相度流/32歳/療養中)
「あまりないけど、男友達の家に泊まってる時こっそり エロビデオ見ながらやっちまった事はあります。ガラスの10代の頃です」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「修学旅行先。誰かがやったと勘付いた人はいると思いますが、まさか僕とは気づかないはずです」(えロとも/18歳/大学生)
Q17 一回のオナニーでティッシュ何枚使いますか?
「大体4枚~6枚だったかと」(サマツリ/24歳/学生)
「2枚」(ボニー/34歳/ライターなど)
「5~10枚」(武技威相度流/32歳/療養中)
「10枚くらい使いますよ!」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「トイレットペーパーですが長さをティッシュに換算すると4枚前後かと」(えロとも/18歳/大学生)
Q18 賢者タイムに思うことは何ですか?
「その日によります。何やってんだろ…となる日もあれば、特に何も思わない日もあります」(サマツリ/24歳/学生)
「仕事の企画出さなきゃとか。エロ動画を利用するときは同時に別のタグでユーチューブのラジオ音源も開いておいて、イッた瞬間にそちらに切り替えるようにしています」(ボニー/34歳/ライターなど)
「デリヘル料金」(武技威相度流/32歳/療養中)
「なんか、スポーツとか始めようかな…」(パヤヤン/41歳/サービス業)
「しばらくしなくていいや…ってなります(2.3日後にはまたやる)」(えロとも/18歳/大学生)
オナニー特集(随時更新)
(8/18記事UP)
「SEXは笑ってでもできるけど、オナニーしているときの顔は真剣そのもの」
たしか、尊敬するみうらじゅんさんの言葉だったと思う。
また、
「映画『人のセックスを笑うな』の対義語は『オレのオナニーを笑え』だと思う」
は、TBSラジオ『爆笑問題カーボーイ』のネタメールで聞いたはずだ。
オナニーはマヌケだ。
仕事ではろくすっぽ前調べなんかしないのに、一本のエロ動画を探すためなら2時間以上ネットサーフィンしていることもある。
その真剣さが実にマヌケだ。
オナニーは悲しい。
よりセックスに近づけるため、コンドームを装着してオナニーをすることすらある。
「ゴムをしても一人」
尾崎放哉だって同情する光景だと思う。
オナニーは儚い。
流れ星がどこかへ行ってしまうように、夏の夜空に咲いた大輪の花が一瞬のうちに闇に溶けてしまうように、さっきまでの高ぶりまでもティッシュのなかへと消えてしまう。
「マスターベーション? ははン、さてはお前インテリだな」
映画『男はつらいよ』で寅さんはこんなこと言っていない。言ってないけど、たぶん、言うと思う。
ぼくらがしてきたのはオシャレなマスターベーションなんかじゃない。ダサいダサいオナニーだ。オナニーほどオシャレが不必要なものはない。
オナニーはマヌケで悲しくて儚くてダサい。だから笑っちゃう。だってぼくらみんなオナニーボーイだもん。そんな「ぼくらのオナニー特集」。どうかお付き合いください。
オナニーの集合恥(※恥垢の恥ね)を算出するため、アンケートへの回答を募集します。すべての設問にお答えいただかなくても結構です。回答はコメント欄にお願いします。一行目に(ペンネーム/年齢/職業)を記していただけるとありがたいです。
なお、対象は男性のみとさせていただきます。
Q1 どれくらいの頻度でオナニーしてますか?(週○回)
Q2 初オナニーの年齢を教えてください。
Q3 そのときのきっかけやシチュエーション、得た快感、感情の変化、その後の人生に与えた影響について教えてください。
Q4 普段、どんな環境、体位でオナニーしますか?
Q5 普段のオカズは何ですか? 複数回答あり。(例・エロDVD、ネットの無料エロ動画、エロチャット、エロ本、アイドルのグラビア、イマジンなど)
Q6 どんな妄想でオナニーしますか?
Q7 1日に最高何回したことありますか?
Q8 これまでの人生で最高のオカズ(ドピュリッツァー賞)を挙げるとしたら何ですか?(ソフト名や女優名など具体的に)
Q9 どんなときにオナニーしたくなりますか? 複数回答あり。
Q10 いまでも実家でオナニーしてますか?(Yes or No)
Q11(Q9でYesと答えたひとのみ)そのときの環境や注意点、オカズを挙げてください。
Q12 オナニーに道具を使ったことがありますか?(Yes or No)
Q13(Q11でYesと答えたひとのみ)どんな道具ですか?(オナホやラブドール、ローシ
ョンなど)
Q14 他人にオナニーを見つかったことがありますか?(Yes or No)
Q15 (Q14でYesと答えたひとのみ)そのときのシチュエーションや自分がとった行動、相手がとった行動について教えてください。
Q16 変わった場所でしたオナニーについて教えてください。
Q17 一回のオナニーでティッシュ何枚使いますか?
Q18 賢者タイムに思うことは何ですか?
2012年「西馬内盆踊り」スナップ写真
2012年の夏、帰省した際に見学した秋田県羽後町の伝統的な夏祭り「西馬内盆踊り」のスナップ写真が出てきたので公開します。
今年は8月16日〜18日の3日間開催されるそうなので、この夏秋田を訪れる予定のあるかたはぜひ足を運んでみてください。