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年越しにみる映画②文部省選定『一杯のかけそば』

一杯のかけそばを注文する母子三人。同情したのか、余らせてもしょうがないと思ったのか、丼に一玉半のそばを入れてやる店主(渡瀬恒彦)。

一杯のかけそばを気を使いあいながら食べる三人。

そこへそば屋が飼っている犬が物欲しそうにやってくる。

女将(市毛良枝)に許可を取り、犬にそばを分け与える次男。

「せっかくつくってやったそばを犬に食わせるんじゃねえ!」

と思ったし、

「犬を店の中に入れるんじゃねえ!」

とも思った。

そんな視聴者をよそに、「アンタ、タロウ(犬の名前)がそばを食べたよ」となぜか感動している店主と女将。

 

3年目の大晦日、店側がすっかり常連となった親子のために以前と変わらぬ値段を書いたお品書きを用意しているのにもたまげた。

つまり、この『一杯のかけそば』はそういう物語だ。

どっかのラーメン屋の「ヤサイマシマシニンニク」のような食っても食っても麺に到達しない善意のトッピング。

そばの持つ粋さがまるでない。

大晦日くらいは誰の善意にすがらず、財布の中身を気にせず、天ぷらそばを思いっきりすすりたい。

そのためにも一年間頑張ってはたらこう。そう思わせてくれる作品だ。

 

それにしても、店主は次男坊に交通事故で亡くした息子の面影を見たのか、息子が使っていた野球のグローブをプレゼントするのだが、この次男坊、左利きなのである。

「でもいいよ。僕いま、スイッチヒッターの練習をしてるんだ」

つくづくぶん殴りたくなるガキである。

 

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一杯のかけそば』(1992年)

監督:西河克己、脚本:永井愛、原作:栗良平/99分

出演:渡瀬恒彦/泉ピン子市毛良枝鶴見辰吾柳沢慎吾奥村公延四方堂亘レオナルド熊池波志乃/金沢碧/可愛かずみ国生さゆり玉置宏

 

〜あらすじ〜

昭和47年頃の大晦日の夜、札幌・時計台横丁に暖簾を出すそば屋「北海亭」。閉店間際、「かけそば一杯なのですが...」と小さな男の二人を連れた母親の親子が来店する。その親子は翌年、翌々年の大晦日にも姿を現し、一杯のかけそばを注文する。売れてない頃のさまぁ〜ず三村、レオナルド熊可愛かずみ、という今では貴重な面々が出演している。