『麻雀放浪記』シリーズ名言集、乃木坂ドンジャラ小説、エッセイ他、阿佐田哲也氏の麻雀小説に関する関する記事一覧

 読み物サイト「note」に投稿している阿佐田哲也著『麻雀放浪記』シリーズからの名言集を、氏の麻雀小説短編集からの名言も追加し更新しております。

 

 また、2017年5月に「文学フリマ東京」で販売された小冊子『アイドルと文学 vol.2』に寄稿し、本ブログに転載した乃木坂ドンジャラ小説「乃木坂ドンジャラ放浪記~激闘バスラ篇」、季刊誌『季刊レポ』のwebサイト「ヒビレポ」に寄稿した麻雀放浪記シリーズの恋愛場面についてのエッセイ麻雀放浪記 恋愛篇」のリンク先も含めて以下にまとめました。

 よろしければ。

 

 

(noteより)

阿佐田哲也著『麻雀放浪記』名言集〜シノギかた篇〜」

note.com

 

 

阿佐田哲也著『麻雀放浪記』名言集〜男と女篇〜」

note.com

 

 

(本ブログより)

「乃木坂ドンジャラ放浪記~激闘バスラ篇」(『アイドルと文学 vol.2』掲載)

bonnieidol.hatenablog.com

 

 

(『季刊レポ』webサイト「ヒビレポ」より)

「今朝はボニー・バック 第8回  麻雀放浪記 恋愛篇」(季刊レポ)

www.repo-zine.com

noteに投稿した黒澤明作品に関する記事一覧

 過去に読み物サイト「note」に投稿した黒澤明作品について書いた記事をリスト化しました。よろしければ。


2019年12月24日公開
左卜全のクリスマススピーチ(映画『醜聞 スキャンダル』より)」note.com
記事中に登場する黒澤明作品関連人物→左卜全志村喬三船敏郎黒澤明



2019年12月13日公開
「連載・生駒里奈の言葉♯4番外編「とにかくすべてにおいて彼女は速かったです」(「ガールズルール」収録個人PV「生駒里奈、踊る」監督・熊坂出氏談)」note.com
記事中に登場する黒澤明作品関連人物→三船敏郎黒澤明



2018年10月1日公開
「世界のミフネのベストパートナー〜黒澤映画最多出演女優、千石規子note.com
記事中に登場する黒澤明作品関連人物→千石規子三船敏郎黒澤明


2018年8月3日公開
「言うこととやることがちがっちゃいませんか〜唯一無二の声、役者・三井弘次伝」note.com
記事中に登場する黒澤明作品関連人物→三井弘次、藤原鎌足黒澤明


以上、すべての記事は無料で公開中です。よろしければ。

ライトセーバーを捨てたルークと、卒業センターを断った生駒里奈

遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。
 

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 20thシングルをもって乃木坂46からの卒業を発表した生駒里奈が、3月12日付の日刊スポーツにラストシングルのセンターポジションの打診を断っていたことを明かした。  

 

秋元(康)先生は『生駒センターの卒業シングルを作りたい』と言ってくださいましたが、『ありがたいお話なんですけど、私はそれを望まないです』と答えました。


 生駒里奈は、秋元康によってアイドルとして乃木坂46のセンターとして見出された。
生駒がデビューから5作連続センターに立つことができたのは、秋元康の意向あってこそだったのは間違いない。


 その秋元康の最後の要望に「NO」を突きつけた生駒里奈は、やはり『スターウォーズ』のルークをほうふつとさせる。

 

関連記事→

bonnieidol.hatenablog.com

 

 

〜『スターウォーズ ep6 ジェダイの帰還』あらすじ〜

ルーク・スカイウォーカーは、父であるダースベイダーにかつてのジェダイの魂を取り戻させるため、帝国軍に投降する。父はルークの説得に応じることなく皇帝の下に連行。
皇帝はルークをダースベイダーに代わる自分の右腕にすべく、ルークを暗黒面に誘惑する。
「怒りに身を任せて余を討て さすれば暗黒面への道は完結する」
同時にダースベイダーもまたルークと共に皇帝に代わって銀河を支配する野望を秘めていた。
一度は暗黒面に堕ちかけ父を圧倒、その右手首を切断しとどめを刺すのみとなったルークが次にとった行動は、ライトセーバーを捨てる、だった。
「僕はジェダイだ。父がかつてそうだったように」
ルークが真のジェダイとなり、父を乗り越えると同時に、銀河を舞台に連綿とつながれてきた鎖(サーガ)を断ち切った瞬間だった。

 

 

 ラストシングルの卒業センターを断った理由を生駒は次のように語っている。

 

もちろん普通のシングルでセンターを担うことができればすごくありがたいことなんですけど、曲が私の「卒業シングル」って形になっちゃったり、すぐオリジナルのセンターで歌えなくなっちゃうのもいやだったので。レコード大賞をいただいた後の次の大事なシングルだし、長く歌い継がれてほしいと思ったんです。

 

 振り返れば、『BRODY』2017年6月号で、生駒里奈は「もう一度センターをやらせてほしい」と胸の内を明かしていた。

 

もし、一回でもチャンスをもらえるのであれば、そのチャンスを逃さない自信が今はあります。だから一回でいいからセンターをやらせてほしい。

 

 生駒にとってセンターとは、憧れや思い出づくり、今のポジションに不満があるからといった我欲を満たすためではなく、「世の中に大きな衝撃を与えたい」「新しい乃木坂46を見せる」ためだった。

 乃木坂46を真の意味で国民的グループにするための戦いの持ち場としてセンターというイチポジション望んでいたのだ。

 自分ひとりのための卒業シングル、卒業センターに「NO」を突きつけたのは彼女にとって当然だったのだろう。

 

 卒業センター、卒業シングルが悪いわけではない。それによって思いを満たされるアイドル、メンバー、ファンも多いだろう。
 しかし、生駒は、卒業センターという昨今の乃木坂46の、引いてはアイドル業界の慣例を乗り越えたその先を望んでいるはずだ。

 

 ライトセーバーを捨てたルークと、卒業センターを断った生駒里奈
 「スターウォーズ/ローグワン」でデススターの設計図を受け取ったレイアがつぶやいたように、最後に「希望」を託くしたと思いたい。

 

 

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You are my only HOPE.

 

パフォーマーとしての生駒里奈、と三船敏郎

 ぼくが映画界でいちばん好きな俳優が、三船敏郎である。これは中学時代に黒澤映画にハマって以来、変わっていない。

 三船の演技には(特に黒澤作品においては)、照れや遠慮がまったくない。 映画におけるルールやお約束などお構いなしに、走り、吠え、泣き、斬り、肩でぜいぜいと息をしている。

 

 

 三船を自身の戦後からの作品のほとんどにおいて主役として起用した黒澤明監督は、彼の俳優としての魅力を次のように語っている。

「三船は、それまでの日本映画にはない、類まれな才能だ。ともかくそのスピード感は抜群だ。普通の役者が10フィートで表現するところを、三船は3フィートで表現してしまう。しかも驚くべき繊細さと感覚を持っている。めったに役者に惚れない私も三船には参った」

(黒澤の自伝「蝦蟇(ガマ)の油」より)

 

 

 ぼくはこの賛辞を、乃木坂46生駒里奈にも送りたい。いや、ぼくなんかより、これまで一緒に生駒里奈と仕事で関わったクリエイターの言葉を並べたほうがご納得いただけるだろう。

 

 

最終的にオーディションで選んだ3人はもちろんですが生駒さんも、とても魅力的でした。一人だけ他の方とは違う印象を受けました。瞬発力も良かったです。

(「君の名は希望」MV監督・山下敦弘

 

生駒ちゃんは本番で火がつくと印象がガラっと変わりました。表情がころころ変わるので、撮っていてすごく楽しかった。

(「シャキイズム」MV監督・柳沢翔

 

とにかくすべてにおいて彼女は速かったです。楽曲を元にダンスの振り付けを考える、衣装を決める、そして本番で踊る、すべての課程において誠実に悩み、答えを見つけ、スピーディに実行に移してくれました。こっちが何も言わなくても彼女は勝手に障害を見つけて乗り越えて行こうとする。誠実な成長力によるものだと感じました。

(「ガールズルール」収録個人PV「生駒里奈、踊る」監督・熊坂出)

 

飲み屋街というアイドルとはかけ離れた空間で絡まれたりしながらも全く動じず、オレンジジュースを一気飲みする生駒の姿を見て、作品に入り込む集中力の高さが印象に残りました。

(「夏のFree&Easy」MV監督・丸山健志

 

生駒さんは本番直前まで場を和ませていても、本番はスイッチを切り替えており、女優さんだなと思いました。

(「太陽ノック」MV監督・三石直和)

 

18人を撮影した時間と場所、全てに印象的なエピソードがありました。特に生駒さんのダンスはカットの声がかけられなかったです。

(「羽根の記憶」MV監督・岡川太郎)

すべての発言の出典元は『『MdN 乃木坂46 歌と魂を視覚化する物語』』より

 

 

 黒澤明三船敏郎評、乃木坂46の作品に関わったクリエイターの生駒里奈評で共通しているのは、「スピード感(瞬発力)」だ。

 ぼくは表現におけるスピード感というのは、単にA地点からB地点までを移動する距離のことではないと捉えている。最短時間で表現を受け手に届けることのできる能力のことだ。

 そのような表現を可能にするには、表現ひとつひとつに意味、物語性を帯びていなければならない。

 

 

 乃木坂46のファンブログ「ノギザカッション!」で過去2回、「ダンスNo.1は誰だ!」アンケートが行われたことがある。生駒里奈は1回目・2位、2回目・3位という結果だったが、順位以上にその投稿理由が興味深かった。いくつを引用する。

 

「ダンスというか、舞というか。ふっと吹くと飛んで行ってしまいそうな軽やかさと、指先まで魂がこもっている事、歌詞の中を生きる表情等の総合力で判断しました。」

 

「元気な青春系からかっこいい系、清楚な振り付まで楽曲にあわせた豊かな表現力で人の心を動かすダンスだと思います」

 

「曲調等をよく理解して場面に合った振りや表情をしていると思う。」


「指先まで意識が通っていて美しく楽曲に映えるダンス」

 

「ダンスに心が宿っている。いつも何者かになりきろうとしている」

 引用元→

blog.livedoor.jp

 

blog.livedoor.jp

 

 PASSPO☆HKT48、NGT48などの振付けを担当している竹中夏海氏は、「生駒さんのダンスにはウソがない」と語ったというが、「ノギザカッション!」のコメントにもあったように、生駒里奈のダンスは表情から関節の動き、ぴんと伸びた指先に至るまですべての動きが表現となっている。

 

 ひとつ代表例をあげると、16枚目シングル「サヨナラの意味」MV。

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 MVがフイルムの尺にして何フィート回したのかは知らないが、界隈にしか通じない楽屋ネタとメタファーで構成されたMVに比べて、生駒里奈のパフォーマンス一発が見せた密度の濃さは比較にもならないほどだった。

 

 生駒里奈は、ぼくにとって三船敏郎以来、20年近く経って自分の目の前に現れた贅沢な一瞬を与えてくれるアクターだ。

 めったに年下に惚れない私も生駒には参った。

 

ちなみに、三船敏郎生駒里奈。どちらもルーツは秋田県由利本庄市である。

乃木坂46「シャキイズム」MVとビートたけしの言葉

「シャキイズム」(2013.3.13リリース『君の名は希望/Type-A』収録)のミュージックビデオ(MV)は、乃木坂46のドラマ仕立てのMVの中でいちばん好きな作品だ。

 

www.youtube.com

 

〜あらすじ〜

レーザー光線により男子と女子が分離された学園。

主人公の冴えないオタクっぽいメガネ男子(生駒里奈)は、クラスメートで窓際の席に座る女子(星野みなみ)が気になっている様子。星野は学園のマドンナ的存在らしく、授業中にも関わらず他のクラスの生徒(桜井玲香)が告白に来るほどである。

告白を終えた桜井は、レーザー光線で仕切られた教室の“女子側”に足を一歩踏み出す、すると瞬時に目の前に巨大な壁が現れ、桜井は学園を裏で仕切る風紀委員(生田絵梨花橋本奈々未秋元真夏若月佑美深川麻衣ら)に連行されてしまう。恋敵の告白から連行されるまで、生駒はただ呆然と見ていることしかできなかった。

その後、生駒は体育の柔道で風紀委員のリーダーである生田に、風紀委員の恐ろしさを知らしめるためのモルモットのように投げられまくる。レーザー光線の向こう側にいる星野の目の前で。

 

柔道の仕打ちがよっぽど悔しかったのか、生駒はクラスメートで不良の白石麻衣と手を組み、風紀委員の監視を妨害して一矢報いる。

白石は人知れずクラスの女子・松村沙友理とレーザー光線越しの恋愛をしており、二人の障害となっている風紀委員に対しては前から思うところがあったのだろう。

ちなみに生駒と白石は学園に入ってからはそれぞれ別グループに別れてしまったが、元々は幼なじみのような雰囲気だ。

 

学園に平和が訪れたのかのように思えたある日、白石は松村と金網越しに校内デートをしているところを風紀委員に見つかってしまう。果敢に立ち向かっていく白石だったが、生駒が駆けつけたときにはひとりでは立ち上がれないほどの体になっていた。

やりきれない思いが爆発した生駒は親友の仇をとるべく、教師(演・嶋田久作)から特訓を受ける。

生田との再戦の日、生駒は金網越しに星野に自分のメガネを渡し、戦いの場へ向かっていく…。

 

 

長々とあらすじを書いたが、監督・柳沢 翔氏は「シャキイズム」MVのテーマについて「好きならもっと本気で来いよ草食男子!!」と述べている。

(雑誌『MdN EXTRA Vol.3 乃木坂46 映像の世界』より)

 

そう、「シャキイズム」MVは、好きな女の子を振り向かせるため男の子が頑張る、というハイコンセプトな作品だ。

 

戦いの前、なぜ生駒は星野に自分のメガネを星野に渡したのか?

生田との決闘は白石の仇をとるためであって、星野とはなんの関係もない。星野だって、風紀委員が仕切る学園内の空気に多少の息苦しさは感じているだろうが、誰かから“救ってもらいたい”という気持ちほどはないだろう。

生駒にとっては、風紀委員の横暴をなくせば、その後の星野との恋愛もスムーズに運ぶかもしれないが、星野とうまくいくなんて保証はない。

ではなぜ生駒はメガネを星野に渡したのか。

それは、生駒にとって星野は自分の成長をいちばん見てもらいたい相手だったからだ。

 

ビートたけし言うところの、

「どんなに、てめぇが、小っちゃくても星くずだろうが、この人にだけは届かせようと一生懸命輝くこったよ」

「それが出来なきゃな、男の子じゃないよ」

浅草キッド著『お笑い 男の星座』より)

 

である。

 

ぼくはこのテーマが描かれる作品に弱い。

たとえば、漫画『ダイの冒険』のポップ。

マアムに「好きだ」と言うつもりだったのに、口から出たのは「すばらしい仲間だと思ってんだからさ」。

いまの自分には「好き」と言う資格すらないと自覚し、次会う日までもっともっと強くなろうと誓うポップにぐっとくる。

 

そして、「シャキイズム」の星野同様、弱い「生駒くん」が思いを寄せる女性の観察眼はいつだって正確だ。

たとえば、ドラマ『輝く季節の中で』における篠原涼子

落ちこぼれ医大生の自分に何かと世話を焼いてくれる仲間の篠原に、中居正広

「お前さ、なんだかんだ言ってオレに惚れてるんじゃないの」と口走ってしまう。

篠原「もうちょっと樋口くんが強かったらね」

この言葉には中居も「…そっか。そうだよな」と苦笑しながらも認めてしまうしかない。

 

 

「シャキイズム」MVは、見事戦いに勝利した生駒の顔に星野が預かっていたメガネをかけてあげるシーンで終わる。

 

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星野の、

「うん。よくがんばったね」

という台詞はないけど表情とも相まって、いつだってなんだって女の子はお見通しなんだな、と改めて気づかされる。

乃木坂46の東京ドーム公演感想~「いつかできるから今日できる」の生駒里奈~

11月7日・8日に行われた乃木坂46の東京ドーム公演2daysのセットリストは、「現場」での強さを最優先に組んだ、ライブベスト盤から選曲したような鉄壁のラインナップだった。

 

制服のマネキン」「君の名は希望」「何度目の青空か?」といったアンセムには「待ってました!」という気分になり、ライブという空間にひときわ映える「世界で一番 孤独なLover」「他の星から」「ここにいる理由」「命は美しい」などの楽曲たちには改めて乃木坂46の作品としての強さを感じた。

粒ぞろいの楽曲とメンバーたちの磨かれたパフォーマンスに、「どの曲が最後の曲になってもいい」とさえ思えた。初の東京ドーム公演という祭りムードの配合も絶妙で、乃木坂46史上最も完成度の高いライブだったのではないだろうか。

 

一方で、パッケージとしての完成度の高さゆえのさびしさもよぎった。
上に挙げた楽曲のライブパフォーマンスのすばらしさはぼくにとってはすでに通った、見てきた道だったからだ。

「どの曲が最後の曲になってもいい」は、ライブが進むにつれ次第に「これならもう乃木坂46のライブはいいかな」に変わっていった。

 

映画監督・野村芳太郎スピルバーグ監督の『ジョーズ』を観た後、
「『ジョーズ』はたしかにすばらしい。だからこそこれ以降のスピルバーグ作品は見る必要がない。あんな作品は二度と作れないからです」
と、脚本家・橋本忍に言ったという。
引用元:橋本忍著『複眼の映像』

 

ぼくはまさしくそんな心境だった。確認作業なら後に発売されるであろうライブDVDで十分だから。

 

ローマの休日』の最後、王女に別れを告げ、コツコツと靴音を立てながら王宮の階段を降りていくグレゴリー・ペック
初日のライブ中、ひとりグレゴリー気分になっているぼくを引き戻してくれたのは、やっぱり生駒里奈だった。

 

「どの曲が最後の曲になってもいい」と思っていた本編最後の曲は、最新シングル曲「いつかできるから今日できる」だった。


曲の冒頭、歌唱パートを担うWセンターやフロントメンバーの肩越しに映る生駒ちゃんのパフォーマンスにぼくの目は釘付けになった。
「一人の」というより、彼女は「ひとつ」になって表現をしていた。
それは、「制服のマネキン」や「サヨナラの意味」のMVと同様、新しい生駒里奈の表現だった。

 

パッケージを突き破る新しい発見を見せてくれた生駒ちゃんはやはり希望だった。

 

2日間おつかれさまとありがとう。

これからもよろぴくぴく。

サウスパーク「You're Getting Old」

サウスパーク』のなかでいちばん好きなエピソードかもしれない。

 

〜あらすじ〜
10歳の誕生日を迎えたスタンは誕生日パーティでクラスメートから誕生日プレゼントをもらう。親友のカイルからは「トゥイーン・ウェーブ」といういま子供たちの間で流行っている音楽CDをもらうが、スタンの母親シャロンは「糞みたいな音楽だから」という理由で息子の誕生日プレゼントを取り上げてしまう。

 

若い頃ロックスターに憧れ、音楽に理解がある(と思っている)スタンの父親ランディはシャロンのやり方に反発する。
「自分も若かった頃、親に好きな音楽を否定されただろ? 君も若いヤツらの音楽が糞に聞こえるほど年をとったんだ」
ランディは自分はまだ年寄りの時代遅れじゃないと「トゥイーン・ウェーブ」のCD聞いてみるが、ヘッドホンから聞こえてきたのは紛れもなく糞の洪水だった。

 

シャロンたち親は結託して子供たちが「トゥイーン・ウェーブ」を聞くことを禁止する。カイルの父親ジェラルドは代わりに「これが本当の音楽だ」とザ・ポリスの曲を聞かせるが、子供たちには耳にゲリグソを流されているようにしか聞こえない。
スタンはシャロンの言いつけを破り、隠れて「トゥイーン・ウェーブ」をダウンロードして聞いてみる。ところが、スタンの耳に流れてきたのは先ほど聞かされたポリスと同様、ビチグソだった。
翌日、登校中にノリノリで「トゥイーン・ウェーブ」を聞いているカイル、カートマン、ケニーの3人。スタンはカイルにだけ打ち明ける。
「もらったCD、全然好きじゃないんだ。何かが起きて糞のようにしか聞こえないんだ」

 

(ちなみに、「トゥイーン・ウェーブ」の音源はYouTubeで聞くことができます)

www.youtube.com

 

スタンはカイルのアドバイスに従い、病院で医者に診てもらうことに。
「音楽だけではなく、前は好きだったポップコーンやロックケーキも今では糞のような味がする」
医者は検査として「トゥイーン・ウェーブ」とボブ・ディランの曲を聞かせるが、スタンの耳にはどちらも糞水を顔面シャワーされているようにしか思えなかった。
「年をとるにつれて好きだったものがクソみたいに感じるようになる。クソのように思えても子供にはクソには見えない。君は何らかのショートを起こしてすべてのものがクソに聞こえ、クソに見えてしまうんだ。治療法はない」

 

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クソをまき散らしながら喋るクソ医者に「皮肉癖」と診断されたスタンは友達の前では気丈に振る舞うも、ゲームに誘われると、
「そんなのクソゲーだろ? たくさんいるキャラと話してボタン押すゲームなんて誰がやるんだ?」
みんなで行ったファミレスでパフェを頼むと、
「俺にはグラスに山盛りのクソにしか見えない」
それならモールに行こうか? という提案には
「クソみたいなものを売りつけるところだろ」
すべてをクソ扱いしたスタンは友達からも見放されてしまう。
そして、スタンの目にはとうとう親友までも喋るクソ人形に見えしまうのだった。

ラストでは、ひとり新しい価値観のなかで生きなければならないスタンの姿がFleetwood Mac「Landslide」をBGMに描かれる。

 

www.youtube.com

 

ぼくがスタンのことを「俺たちのスタン」と呼ぶのはこのエピソードによるところが大きい。
自営業という道を選んでからさらに世の中に「トゥイーン・ウェーブ」が溢れていることに気づいた。
インスタグラムはクソの墓場にしか見えない。
意図的に世の中を皮肉ってるわけでもないのに、どこにいても馴染めない。楽しい時間を過ごしていても、いや楽しいからこそ「帰りたい」と思ってしまう。
そしてひとり空回りしながら自らクソをまき散らしてしまう。

 

10歳の誕生日にクソの世界に足を踏み入れたスタン。

タイトルの「You're Getting Old」どおり、ぼくらは年をとる。そしてパラダイムシフトは経験の数だけそこかしこに潜んでいる。いつ大好物が次の大グソに見えてしまう日がやってきても不思議ではない。

ネタバレになるけど、最後にこのエピソードの後編「Ass Burgers」のスタンの言葉を紹介したい。


「変化とは俺たちみんなに新しいものをもたらす。前とは違うかもしれない。でもそれは少なくとも新しいものだ。初めて尽くしで俺は盛り上がっている」

―スタン・マーシュ